「今朝から社内の一部パソコンだけネットに繋がらない」
「Wi-Fiは飛んでいるのに、共有フォルダが見えない」
こうしたネットワークの不具合、オフィスでは珍しくありません。しかし、原因がわかりにくく、現場では業務がストップしてしまう深刻な問題でもあります。
法人向けパソコンや社内ネットワークは、業務効率を高めるために複数のシステムが連携し、複雑に構成されています。その分、障害の発生ポイントも多岐にわたり、「原因がどこか分からない」状態に陥りがちです。
本コラムでは、ネットワーク不具合の主な原因と、見落とされがちな背景、そしてトラブル時の適切な対応方法について解説します。
原因① ルーター・ハブ・アクセスポイントの物理的な障害
ネットが急に繋がらなくなったとき、まず確認すべきは「ネットワーク機器の物理障害」です。ルーターやスイッチングハブ、Wi-Fiアクセスポイントが経年劣化や熱暴走によって動作不良を起こすことがあります。法人オフィスでは、このような機器がサーバールームや天井裏など見えない場所に設置されていることが多く、トラブルの発見が遅れがちです。
原因② IPアドレスの競合・DHCPトラブル
社内の端末がすべて同じネットワークに接続されている場合、IPアドレスの重複や、DHCPサーバーの設定ミスが原因で通信できないことがあります。特に、増設したPCや複合機が手動でIPを割り当てられていた場合など、知らぬ間にアドレスが競合し、ネットに繋がらなくなることがあります。
原因③ セキュリティソフトやファイアウォールの設定
法人用PCには、ウイルス対策や情報漏洩防止のために強力なセキュリティソフトが導入されていることが一般的です。しかし、これらの設定が誤ってネットワーク接続をブロックしてしまうことがあります。特に、ソフトウェアの自動更新後にポリシーが変わってしまい、通信が遮断されるケースも増えています。
原因④ 社内サーバー・DNS・ドメインコントローラの不調
インターネットは使えるのに、社内の共有フォルダや業務ソフトに接続できない場合、社内のDNSサーバーやドメインコントローラに障害が発生している可能性があります。これらは社内ネットワークの“住所録”のような存在で、ここに不具合が起きると、ユーザーの認証やファイル共有ができなくなります。
背景にある「IT環境の属人化」と「老朽化」
多くの中小企業では、ネットワーク設計や管理を1人の担当者が担っている「属人化」が問題となっています。誰かが設定したまま放置されたネットワークは、後から原因を特定しづらく、復旧にも時間がかかります。
また、ネットワーク機器の多くは数年で性能が劣化し、障害のリスクが増加します。パソコンやソフトの更新には注力しても、ルーターやハブは10年前のまま…というケースも少なくありません。
トラブル時は「記録」と「切り分け」が重要
ネットワークの不具合が発生したら、まずは「いつから」「どの端末で」「どんな症状か」を明確に記録することが大切です。
次に、有線/無線、全体/一部、社内/インターネットなど、影響範囲を切り分けましょう。
それにより、単なるLANケーブルの抜けか、設定ミスか、サーバートラブルか、絞り込みが可能になります。
法人ネットワークの定期点検と見直しを
ネットワークトラブルは、業務の停止だけでなく、取引先や顧客との信頼にも影響を与える重大なインシデントです。
パソコンシェルジュでは、法人PCのトラブル診断から、ネットワーク機器の見直し、定期メンテナンスまでトータルで対応しております。
「なんとなく不安」「最近調子が悪いかも」と思ったら、ぜひ一度ご相談ください。
トラブルが起きる前の“予防保守”が、安心・安定したIT環境の鍵になります。